バーで人気が高まりつつある「ケテルワン ウォッカ」その実力は?
たまには「少しいいウォッカ」を買ってみようかな…?
なんて考えてる方はご傾注。
今回紹介する銘柄は、オランダで製造されているプレミアムウォッカ「ケテルワン」。
近年、バーでじわりと人気が高まりつつあるウォッカです。
このウォッカはどのような特徴があるのか?
他のウォッカとの違いは?
実際にカクテルを作りながら、このウォッカの良さをお伝えしたいと思います。
ケテルワンとはどんなウォッカなのか?その特徴について解説
ケテルワンウォッカは日本のバーではあまり見かけない銘柄ですよね。
そこでまずは、
ケテルワンとはどのような特徴を持つウォッカなのか?
そちらについて解説したいと思います。
ケテルワンは生産効率よりも品質にこだわったウォッカ
まずお伝えしておきたいのは、
ケテルワンは品質重視というコンセプトで作られているウォッカ
だということです。
ケテルワンを製造する「ノレット蒸留所」が設立されたのは1691年。
当時はジュネヴァー(オランダジン)の製造がメインでした。
ケテルワンウォッカの製造を始めたのは、実は意外にも最近。
1980年代初頭のことです。
その頃のウォッカはどちらかというと、安価で大量消費されるお酒という感じでした。
ですが、10代目ファミリーディスティラーとなったカルロス・ノレットは「品数より品質」を追求します。
そうして生まれたケテルワンウォッカは、現在カクテルの味わいを追求するバーで重宝される存在となっています。
厳選した小麦とこだわりの蒸留器
ウォッカの原料となるのは、穀物やジャガイモなど。
そんな中からケテルワンは、北ヨーロッパの厳選された小麦を使ってウォッカを作り出しています。
まず、最新鋭の6塔式連続蒸留機でスピリッツを精製。
その一部を単式蒸留器に移して再蒸留するという手法をとっています。
この単式蒸留器は、ケテルワンウォッカを初めて蒸留したその時からずっと現役。
「Distilleerketel No.1」と呼ばれる、ケテルワンの象徴とも言える存在です。
Ketel Oneというブランドネームもこの蒸留器の名前から付けられたそうですよ。
小麦を原料にしたウォッカはすっきりとしていながら、風味がよく残るのが特徴です。
ケテルワンの場合も、鮮やかなキレの中にふくよかなニュアンスが現れていますね。
ウォッカは原料による味の差がほとんどないと言われますが…
なんとなく「いいな」と感じたスピリッツ同士が実は同じ原料を使っていたということがよくあります。
なので、原料からウォッカを選んでみるというのも面白いかもしれませんね。
同じく小麦原料のウォッカである、ピナクル、アブソルート、グレイグースなどが好きな方は試す価値ありだと思います。
ケテルワンウォッカの味わい、テイスティングレビュー
それでは、ケテルワンウォッカはどのような味なのか?
実際に常温ストレートで飲んでみましょう。
キックが効いた味わい…!
かと思いきや、ふくよかなニュアンスもありますね。
なんというか、シンプルに美味いです。
あいまいな表現で申し訳ないですが、第一印象は美味いのひとことでした (笑)
口当たりは滑らか。
公式のレビューではシルキーな口当たりとのことですが、まさしくその通りですね。
特徴的なのが余韻。
熟した果実のような風味がふわっと漂います。
この感じは同じプレミアムウォッカである、グレイグースに少し似てるかもしれませんね。
要約すると、ケテルワンウォッカは…
・ウォッカらしいキレを持ちつつ
・程よいボリュームがあり
・芳醇で長い余韻がある
スタンダードな味わいながら高水準。
ジンで例えるならばタンカレー No.10みたいな存在だな、と私は感じました。
ケテルワン vs その他の定番ウォッカ!カクテルにして飲み比べてみました
ケテルワンはそのまま飲んでも十分に美味しいですが…
ウォッカの真髄はやはりカクテルにあります。
ということで、ケテルワンとその他のウォッカで同じカクテルを作って飲み比べてみましょう。
ケテルワンのお相手をするのは、この2本。
氷のようにシャープで澄んだ味わいをもつ、フィンランディアウォッカ。
そして「フレッシュフルーツにもっとも合う」と言われる、ソビエスキーウォッカです。
どちらも、定番かつ人気の高い銘柄です。
これらでいくつかのスタンダードカクテルを作り、ケテルワンと飲み比べてみます。
比較に使うカクテルのレシピについては、ウォッカカクテルの記事を参考にどうぞ!
ケテルワンウォッカとフィンランディアでモスコミュールを飲み比べ
まずはウォッカカクテルの定番、モスコミュールから飲み比べてみます。
もちろん、割り材の分量はキッチリ合わせますよ。
容量200mlのジンジャービアを重さを測って、キッチリ100mlずつ注ぎます。
【フィンランディアのモスコミュール】
・スッキリ、シャープな飲み心地。
・ジンジャービア、ライムの風味がよく感じられる。
【ケテルワンのモスコミュール】
・スパイシーでふくよかな印象。
・一体感のある味わいで、余韻が長い。
・アルコールのアタックがしっかりとある。
ケテルワンの方はふくよかでキックの効いた、モスコミュール"らしい"仕上がりになっています。
余韻の風味がたまらないですねこれ…。
フィンランディアの方はスッキリ風味でさわやかな印象。
味わいのクリアさならこちらが上手です。
ケテルワンウォッカとフィンランディアでバラライカを飲み比べ
お次はショートカクテルの定番、バラライカで比べてみます。
材料の比率は教科書通りの2:1:1で!
【フィンランディアのバラライカ】
・ピュアで上品さのある仕上がり
・華やか、飲みやすい
【ケテルワンのバラライカ】
・ボリューム感があり、まろやか
・余韻が長い、芳醇
ケテルワンのバラライカ、実に美味しいですね!
ほどよいボリューム感と一体感。
今まで試したウォッカの中ではベストに近い仕上がりです。
スッキリとした仕上がりを目指すならフィンランディア。
ボリューミーに仕上げたいのならばケテルワンといったところでしょうか。
ケテルワンウォッカとソビエスキーでスクリュードライバーを飲み比べ
続いて、スクリュードライバーを作ってみます。
ケテルワンと比較するのはソビエスキーウォッカです。
このウォッカで作るスクリュードライバーは絶品!
はたしてケテルワンは太刀打ちできるのでしょうか?
【ソビエスキーのスクリュードライバー】
・口当たりが非常にソフト
・オレンジの風味がクッキリとした印象
【ケテルワンのスクリュードライバー】
・ほどよいアルコールのキックがある
・ウォッカとオレンジの風味に一体感がある
これは仕上がりにかなりの差が出ました。
ソビエスキーの方は全体的にソフトな仕上がりに。
フレッシュオレンジの繊細な風味もよく感じられます。
オレンジ主体、という考え方で作るならば明らかにこちらが優位です。
一方、ケテルワンの方は味わいの一体感を強く感じます。
ピシッと芯の通った味わい。
ウォッカカクテルらしいアルコールのキックも効いています。
ケテルワンウォッカとソビエスキーでブラッディメアリーを飲み比べ
最後はトマトジュースを使ったカクテル、ブラッディメアリーで飲み比べてみます。
ケテルワンウォッカはブラッディメアリーによく合うのだとか。
オフィシャルサイトでも、数多くのアレンジレシピが掲載されています。
はたして、どのような仕上がりになるのか…?
【ソビエスキーのブラッディメアリー】
・口当たりが非常にソフト
・トマトの風味が良く分かる
【ケテルワンのブラッディメアリー】
・滑らかな飲み心地
・トマトの風味が引き立っている
これはケテルワンのブラッディメアリー、確かに美味しいですね!
やや重くなりがちな飲み口が、シルキーで軽やかな印象になっています。
ソビエスキーの方もソフトな仕上がりでかなり美味しいです。
ですが、私はどちらかというとケテルワンの方が好みですね!
今回は市販のトマトジュースを使ったので、このような感想になりましたが、
フレッシュトマトを使って作る場合はソビエスキーがベターでしょう。
フレッシュトマトの風味は繊細…。
なので、それを邪魔しないウォッカを使うことが大切だと私は思います。
結論:ケテルワンウォッカは使い勝手がよく品質も高い
飲み比べてみて、私はケテルワンには次のような特徴があると感じました。
・どのようなカクテルにもマッチする
・ウォッカのカクテルらしい、ほどよいキックの効いた味わいを作り出すことができる
・シルクのような滑らかなテクスチャーを持つ
・副材料の味わいを膨らませてくれる
カクテルに使い勝手がいい銘柄が欲しい。
そして、ウォッカらしいキレのある味わいにしたい。
そんなときに重宝してくれるウォッカですね!
キレのあるウォッカは雑味が気になるものも多いのですが、ケテルワンは特に嫌な雑味は感じません。
カクテル作りのベンチマークに使う、「少しだけいいウォッカ」として活躍してくれそうですね!
ケテルワンウォッカ指定のカクテルレシピ
ケテルワン指定のカクテルレシピがいくつかあったので、実際に作ってみました。
ケテルワンの風味に合うように作られているだけあって、どれも完成度が高いですね。
飲んでみての感想とともにレシピを紹介したいと思います。
ダッチミュール
【材料】
ケテルワンウォッカ 50ml
フレッシュライムジュース 15ml
アンゴスチュラビターズ 3dash
ジンジャービア Full up
【作り方】
ジンジャービア以外の材料を氷を入れたグラスに注ぎ、ステアする。
ジンジャービアで満たして、軽く再ステアする。
ダッチ=オランダの。
という意味なので、これは「オランダ流モスコミュール」といったところでしょうか。
スタンダードなレシピとの違いはビターズの有無。
これが入ることによって、スパイシーで奥深い風味となっています。
キックが効いていて、刺激的な味わい。
いつもとはひと味違ったモスコミュールもまた魅力的ですね。
ちなみにビターズについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
アイディア次第で、さまざまなカクテルのアクセントに使えますよ!
ケテルワンフィズ
【材料】
ケテルワンウォッカ 45ml
フレッシュライムジュース 15ml
シュガーシロップ 7.5ml
炭酸水 1splash (約6ml)
【作り方】
氷を入れたシェーカーに炭酸水以外の材料を入れて、シェークする。
氷を入れたグラスに注ぎ、続けて炭酸水を注ぐ。
ウォッカをベースにしたフィズスタイルのカクテル。
味わいはまさに爽快。
炭酸よりもライムの香りで清涼感が出ている感じです。
ちょっとこれは他のウォッカでも試したくなるくらい美味しいですね…!
ライムを使うフィズスタイルのカクテル、掘り下げる価値がありそうです。
ケテルワンホワイトルシアン
【材料】
ケテルワンウォッカ 50ml
カルーア 25ml
牛乳 10ml
生クリーム 10ml
【作り方】
氷を入れたシェーカーに材料を入れて、シェークする。
カクテルグラスに注ぎ、削ったナツメグをふりかける。
このホワイトルシアンは、スタンダードと少し材料と分量が異なります。
カルーアが多め、生クリームに加えて牛乳を使う、アレキサンダーのように仕上げにナツメグをふりかける…。
なかなか珍しい処方ですが、飲んでみたら納得。
ケテルワンのシルキーさとよく合っています。
ケテルワンが持つ風味もコーヒーとよく合いますね。
余韻にふわっと香るのがいい感じです。
キングオブオレンジ
【材料】
ケテルワンウォッカ 50ml
グランマニエ 20ml
カンパリ 20ml
レモンジュース 20ml
【作り方】
氷を入れたシェーカーに材料を入れて、シェークする。
カクテルグラスに注ぎ、クラウン型のオレンジピールを飾る。
リキュールと合わせたレシピです。
甘めなのかと思いましたが、カンパリとレモンが効いているのでちょうどいい感じ。
オレンジの飾りは少し手間ですが、香りも雰囲気も良くなるので、ぜひトライを!
ちなみにカンパリについては、この他にも美味しい楽しみ方を多数紹介しています。
少し珍しいレシピもありますので、よろしければこちらもどうぞ!
グレープフルーツジュレップ
【材料】
ケテルワンウォッカ 50ml
フレッシュライムジュース 12.5ml
ミントの葉 4枚
グレナデンシロップ 12.5ml
ピンクグレープフルーツジュース 25ml
蜂蜜 5ml
【作り方】
氷を入れたボストンシェーカーに材料を入れて、シェークする。
メッシュで漉しながらクラッシュドアイスを入れたグラスに注ぎ、ミントの葉とグレープフルーツピールを飾る。
フレッシュの材料をふんだんに使ったクラフトカクテルです。
みずみずしい味わいで香りも素晴らしい。
海外産のレシピなんですが、カジュアルに楽しめていいですね。
キリッと冷えて、暑い日には特にオススメのレシピ。
材料を揃えるのが少し大変かもしれませんが、ぜひ味わってもらいたいですね。
エスプレッソマティーニ
【材料】
ケテルワンウォッカ 50ml
エスプレッソ 45ml
シュガーシロップ 15ml
カルーア 5ml
【作り方】
氷を入れたシェーカーに材料を入れて、シェークする。
カクテルグラスに注ぎ、コーヒービーンズを飾る。
エスプレッソと合わせた近年人気のレシピです。
ケテルワンがほどよい上品さを保ちながら、芯のある味わいに仕上げてくれています。
カクテルもコーヒーも好きだという方には、かなりオススメのレシピですね。
エスプレッソがなかなか用意できないというときは、少しテイストが変わりますが濃いめに淹れたコーヒーでも代用できます。
近年人気の水出しコーヒーを使うというのも、個人的にはアリですね。
淹れ方などは以下の記事で紹介しています。
ジムティーニ
【材料】
ケテルワンウォッカ 30ml
ホワイトカカオリキュール 20ml
フランジェリコリキュール 10ml
【作り方】
氷を入れたシェーカーに材料を入れて、シェークする。
カクテルグラスに注ぐ。
お次は食後に楽しみたい、デザートカクテルのレシピをひとつ。
ヘーゼルナッツとカカオのスイートな味わい。
上等なチョコレートのような、ウットリする風味…。
これは甘党にはたまりませんね !
上品、かつピシッとまとまってくれたのはケテルワンのおかげですね。
チープなウォッカだと、この雰囲気は出せないと思います。
スプリングガーデン
【材料】
ケテルワンウォッカ 45ml
シュガーシロップ 10ml
フレッシュレモンジュース 20ml
フレッシュアップルジュース 65ml
ラズベリー 3個
ミントの葉 8枚
【作り方】
ボストンシェーカーにラズベリーとミントの葉を入れて、軽くマドルする。
残りの材料と氷を入れて、シェークする。
メッシュで漉しながら氷を入れたグラスに注ぎ、ラズベリーとミントの葉を飾る。
最後にコストも手間もかかりますが、とても美味しかったレシピを。
フレッシュのラズベリー、ミント、アップル、レモンを贅沢に使った一杯です。
ラズベリーとリンゴってこんなに合うんですね!
とても華やかでフルーティな風味。
多くの材料を使っているにもかかわらず、見事に味わいがまとまっていますね。
ラズベリーなんかは売っているお店を探すのが少し大変ですが…これは材料を揃えて作る価値ありです。
ぜひお試しを!
ケテルワンウォッカで一歩先の仕上がりを目指してみては?
ケテルワンウォッカの特徴と楽しみ方を紹介しました。
筆者としてはこのウォッカ、かなり感触がよく、
「予算2500円くらいで、スタンダードな味のウォッカを買うならこれになるかな…」
というのがストレートな感想です。
最近は、フィンランディアを愛用していたのですが、
「モスコミュールやスクリュードライバーを作るときには少しだけボリューム不足かな?」
と感じていたので、これからは自分の好みに応じて使い分けしていくことができそうです。
ウォッカらしいストレートな味わいが好みの方。
そして、カクテルの仕上がりのレベルを上げたい方は手にとってみてはいかがでしょうか?
この他のウォッカのオススメ銘柄についてはこちら!
味わいのタイプ別に詳しく紹介しています。
先ほども紹介しましたがウォッカで作るカクテルのレシピについては、こちらの記事にまとめてあります。
色々なレシピをぜひ試してみてください!
ウォッカ以外の蒸留酒、割り材のオススメ紹介はこちらの記事をどうぞ〜。