何かで割るのは邪道とされる日本酒。カクテルにしても本当に大丈夫?
今回は日本酒を使ったカクテルのレシピを紹介したいと思います。
日本酒をカクテルに?日本酒は繊細なお酒だから何かで割るのは厳禁だと聞いたことがあるけど…
こんなことを思った方もいるかもしれないですね。
ですが実は日本酒カクテルはカクテル界では割とメジャーな存在なんです。
有名なレシピもたくさんあり、最近では個性的なオリジナルカクテルを作る手段として日本酒という材料を積極的に取り入れているバーテンダーも珍しくありません。
「日本酒はそのまま飲むのがもっとも美味である」
そんな先入観を捨てて、実際に作って飲んでみると良さがよく分かります。
まだ半信半疑のあなた。百聞は一見にしかず。ぜひ手元にある日本酒でカクテル作りにトライしてみてください!
日本酒を使ったカクテルのレシピ
日本酒を使ったカクテルは優しい甘さとふくよかなコクが特徴的。
その柔らかな風味は個性的で華があります。
今回はそんな日本酒カクテルの中から私が作ってみて美味しいと思ったレシピをいくつか紹介したいと思います。
サムライロック
【材料】
日本酒 45ml
ライムジュース 5ml
レモンジュース 5ml
【作り方】
グラスに氷を詰め、材料をすべて入れて軽くステアする。
まずはお手軽で簡単な飲み方から。
このサムライロックは日本酒に柑橘を加えたシンプルなカクテルです。
日本酒に酸味を加えることでそのキャラクターがガラリと変わります。
やや癖のある香りはとてもフレッシュに。
飲み口はやわらかな印象からシャープな印象に。
少し材料を足すだけでこうも味わいが変わるのか、と驚くことでしょう。
日本酒独特の癖がほぼ感じられなくなるので、風味が苦手という方にはぜひ試していただきたいカクテルです。
ライムジュースとレモンジュースを両方揃えるのは大変!という方はどちらか片方だけでもかまいません。
でも、できたら生の果実を絞って使っていただきたいですね。
よりみずみずしい仕上がりとなります。
日本酒サワー
【材料】
日本酒 2/3
炭酸水 1/3
スライスレモン 1枚
【作り方】
グラスに氷を詰め、レモンと日本酒を入れ軽くステア。炭酸水を注ぎ軽く再ステアする。
次に紹介するのはお手軽な飲み方その2。
炭酸水で日本酒を割ったカクテルです。
日本酒に炭酸が入ることで飲み口はスッキリとドライな印象に。
それでいて香りの方は華やか。
アルコール度数も下がるので誰にでも好まれるカジュアルなカクテルとなりました。
とても美味しい飲み方なのですが、作る際には材料の分量に注意。
あまり炭酸水の割合を増やしてしまうと甘みが足りず、ぼやけた味になってしまいます。
個人的には日本酒2に対して炭酸水1の割合がベストですね。
どうしてもうまくいかない場合はシュガーシロップなどを入れてバランスを取ってみてください。
日本酒ブロッサム
【材料】
日本酒 20ml
キミア 20ml
オレンジジュース 150ml
グレナデンシロップ 小さじ1
【作り方】
グラスに氷を詰め、日本酒、キミア、オレンジジュースを注ぎよくステアする。最後にグレナデンシロップを沈める。
ネットで見かけたレシピです。
非常にいいレシピだと思ったので、こちらでも紹介させていただこうかと思います。
このカクテルはテキーラベースのカクテル「テキーラサンライズ」によく似ていますね。
見た目や使っている材料にも共通点があります。
味の方もシルバーのテキーラで作られたものにかなり近いです。
ですが日本酒を使っているためか、どこか柔らかな印象を受けますね。
キミアとグレナデンの風味でボリューム感も十分。
飲んだ後にこれが日本酒のカクテルだと聞いたら驚く人もいるでしょうね。
それほどまでに違和感なく日本酒と他の材料がマッチしています。
このカクテルに使った金柑リキュールの「キミア」については別記事で詳しく解説しています。
活用法を知りたい方はご覧になってみてください!
日本酒カイピリーニャ
【材料】
日本酒 45ml
ライム 1/2個
砂糖 小さじ2
【作り方】
ライムをぶつ切りにしグラスに入れ砂糖を加える。ペストルなどで優しく潰し、クラッシュドアイスを詰めて日本酒を注ぐ。最後によくステアする。
ブラジル発祥のカクテル「カイピリーニャ」のアレンジカクテルです。
本来使われるのは、カシャーサというさとうきびから作られるお酒。
それを日本酒に置き換えることで度数も下がり、飲みやすいカクテルとなっています。
シンプルなカクテルなので、これを飲むと日本酒とライムの相性の良さがよく分かりますね。
日本酒のクセはどこへやら、爽やかでフルーティな風味だけが強調されます。
日本酒をフレッシュな風味と共に楽しみたい、という方にはうってつけのカクテルです。
実はこれ、本国ブラジルでも親しまれている飲み方なんだとか。
ブラジル人は非常に創造的な人種であるという話を聞いたことがあるのですが、まさか日本酒を使ったカクテルを作って飲んでいるなんて、少し驚いてしまいますね。
ファンタスティックレマン
【材料】
日本酒 50ml
コアントロー 30ml
キルシュワッサー 10ml
レモンジュース 10ml
トニックウォーター Full up
ブルーキュラソー 小さじ1
【作り方】
日本酒、ホワイトキュラソー、キルシュワッサー、レモンジュースをシェイカーに入れシェイクする。氷を詰めたグラスに注ぎ、トニックウォーターで満たす。最後にブルーキュラソーを沈める。
ハードシェイクで有名なバーテンダー上田和男氏のオリジナルカクテルです。
モチーフはスイス、ジュネーブのレマン湖。
青のグラデーションがとてもキレイな見た目も鮮やかなカクテルです。
味のほうは複雑かつフルーティ。
さまざまなフルーツの風味が渾然一体となりとても飲みごたえのあるカクテルとなっています。
味わいの主役となっているのはコアントローとレモンジュースなのですが、それを日本酒の柔らかな芳香が包み込んでいるイメージの味です。
キルシュの風味も余韻を豊かにしてくれています。
アルコール度数もそれなりにあるのでロングカクテルにしては少し強め。
ですがとても飲みやすく感じるため、スイスイと口に運んでしまいます。
インスピレーション
【材料】
日本酒 30ml
桜リキュール 20ml
パイナップルジュース 10ml
【作り方】
材料をシェイカーに入れシェイクしてカクテルグラスに注ぐ
和の趣のある桜リキュールと日本酒を合わせたカクテルです。
日本酒と桜リキュールの柔らかさをパインの風味がキリッと引き締めてくれています。
それだからでしょうか。
このカクテルを飲むと、なんだかぼやけた頭がシャキッとするような感覚があります。
まさに神の啓示のごときひらめきが浮かびそうな味。
「インスピレーション」というカクテル名にも思わず頷いてしまいます。
米のお酒と桜リキュールの組み合わせなので、桜餅にも似た風味がありますね。
春に飲むと情緒を感じるカクテルです。
このカクテルに使った桜のリキュールが気になった方にはこちらの記事を。
こちらも和の素材のお酒なので、きっと気に入ってもらえることかと思います。
日本酒カクテルにオススメの銘柄
日本酒は、製造方法や材料によってさまざまな味のものが存在します。
すっきりと辛口なもの、白ワインのようなフルーティさを持つもの、米の風味がしっかりとしたもの、熟成感のある味のもの…などなど。
私は実を言うと日本酒にはあまり詳しくないので、カクテルにする際にどのようなものを使えばいいのかずいぶんと悩みました。
そんな中、日本酒カクテルに適していると思えるものを見つけました。「満寿泉」という銘柄です。
今回紹介したカクテルは「満寿泉 貴醸酒」と「満寿泉 純米吟醸」という2種類の銘柄を使って作ったものとなります。
参考までに、この2つの銘柄の特徴について解説したいと思います。
満寿泉 純米吟醸
富山県で製造される日本酒「満寿泉」の純米吟醸。
純米吟醸酒とは、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させて作られた日本酒のことです。
アルコール添加はされておらず、米と麹、水のみを原料としています。
このような製法で作られた日本酒は香りが豊かでフルーティな仕上がりになるのだそうです。
この日本酒をカクテルに使うとその果実のような香りが他材料と違和感なく溶け込んでくれます。
甘さも優しく、一体感がある上品な仕上がりに。
この口当たりの柔らかさ、まろやかさはこの銘柄の風味があってこそですね。
思わずうっとりとしてしまうような心地よい風味です。
さっぱりした日本酒カクテルを作りたいときには、こちらの銘柄を使うのがいいかと思います。
今回紹介したカクテルの中では、日本酒カイピリーニャ、ファンタスティックレマン、インスピレーションの3つに使用しています。
満寿泉 貴醸酒
こちらは同じ原酒を使って作られた満寿泉の貴醸酒となります。
貴醸酒というのは、醸造の際に使う仕込み水の代わりに酒を使った日本酒です。
つまり複数回の醸造によって酒の味わいが濃くなった日本酒、ということになります。
酒蔵の店主と話した時に「貴腐ワインが好きだ」と伝えたところ、こちらを勧めていただきました。
店主の話では貴醸酒と貴腐ワインは味わいに共通点が多いのだそうです。
この銘柄はフルーティな香りと甘く濃厚な味が特徴。
割り負けしない強い味を持っているので今回のように日本酒カクテルにするには最適であると私は思います。
もちろんそのまま飲んでもとっても美味しかったです。
とろりと甘いお酒なので食事と一緒に楽しむには微妙ですが、デザートワインのように食後に飲むとよかったですね。
こちらはカクテルを甘みのある濃厚な風味に仕上げたいときに使うのがオススメ。
ソーダで割るようなカクテルのときに使うのもいいですね。
甘みや香りがしっかりと残ってくれます。
こちらの銘柄はサムライロック、日本酒サワー、日本酒ブロッサムの3つに使用しました。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
さまざまな味わいを楽しむことができる日本酒カクテル。
その良さが少しでも伝われば嬉しいですね。
先入観にとらわれず色々な飲み方を試すことで、時には素晴らしい味わいと出会うことができる…これはカクテルのいいところだと私は思っています。
みなさんもたまには普段とは違う切り口からお酒を楽しんでみてはいかがでしょうか?
きっと新たな発見、素晴らしい出会いがあるはずです。