個性的なフレーバーを持つアイラモルト その特徴とは?
さまざまな地域で製造されるウイスキー…。
イギリスからアメリカ、日本やはたまた台湾まで。
その味わいは製造される国や地域によってさまざま。
ですが、その中でもひときわ異彩を放つウイスキーがあります。
それがイギリス、スコットランドの西海岸沖に浮かぶアイラ島で作られるウイスキー。
通称アイラモルトです。
今回はこのアイラモルトにスポットを当てて、味や特徴、オススメの銘柄などを解説していきたいと思います。
アイラモルトはどんな味がするのか?
それじゃあアイラモルトは他のウイスキーとどこが違うの?
ということで、まずはその味や香りについて説明したいと思います。
アイラモルトの最大の特徴。
それは強いヨード香とスモーキーフレーバーです。
アイラモルトは、アイラ島各地に堆積したピート(泥炭)を燃料として、ウイスキーの原料の大麦の乾燥を行っています。
そのため、他のウイスキーとは違う独特の香りをまといます。
その香りは強烈な薫香の他、消毒液やヨードチンキ、正露丸の香りなどと例えられたりします。
これはアイラ島で取れるピートに、海草のヨード分が豊富に含まれていることによるもので、まさにアイラ島の自然の恵みの象徴といえます。
また、多くの蒸留所が海辺に立てられていることによってウイスキーは熟成中に潮風を纏います。
そのため、アイラモルトは海を連想させるような香りと塩っけを感じる味わいのものが多いですね。
アイラモルトは初心者にオススメできない?
アイラモルトはとても個性的な味わいを持っています。
その味は、ウイスキーを飲みなれた人の間でも好みがはっきりと分かれるほどです。
そのためウイスキー界ではアイラモルトを初心者に勧めるのはご法度!という空気があります。
ですが私としては、気になっているのなら試しに飲んでみるのがいいんじゃないか?と思っています。
憧れは間口を広げてくれる効果があります。
もちろん最初は口に合わないかもしれません。
私もそうでした。
しかし、だからこそ最初にアイラモルトを口にした思い出は忘れがたいものになるのです。
私はウイスキーを飲みはじめた頃、友人にオススメを聞いたら、いきなりラフロイグを薦められたという経験があります。
その頃はウイスキー初心者ですから、当然飲んでみたらとんでもない味だ、と感じます。
「なんてものを薦めてくれたんだ…!」
とその時はずいぶん友人のことを疑ったものです。
ですが、不思議とその後もちょくちょくとラフロイグを飲むようになります。
あの独特の味わいが知らず知らずのうちにクセになっていたのです。
今ではすっかりウイスキーはアイラ党に。
出会いにインパクトがあったからこそ、離れがたい存在になっているのかもしれませんね。
オススメの銘柄と飲み方の解説
それでは、実際にアイラモルトにはどんな銘柄があるのか?
順に紹介していきたいと思います。
アイラモルトを楽しむコツは、まずはストレートで飲んでみるということ。
ウイスキー初心者の方は慣れないところがあるかもしれませんが、ぜひトライしていただきたいところです。
もちろんお供にはチェイサー(氷水)を。
ウイスキーの後に追って飲むことで、香りが拡がり、その味わいを十分に堪能することができます。
ボウモア 12年
アイラ島最古の蒸留所で、伝統的な製法で作られるウイスキー。
アイラウイスキーの入門用としてもよく勧められる銘柄です。
アイラのウイスキーの中ではピート香が抑えめな方なのですが、それでも他のウイスキーと比べると、かなりピーティーな部類に入ります。
ボウモアからアイラモルトに入った!という方も多いとは思いますが、その味は衝撃的で忘れられないものとなっていることでしょう。
特徴的なピート、ヨード香にばかり目が向きがちですが、その奥には魅惑的な味わいが潜んでいます。
穏やかな浜辺を思わせるような塩っ気のある味、かすかな甘み、それに花を思わせるような香りと海草の香りが折り重なっています。
絶妙なバランス感覚を持つウイスキーです。
オススメの飲み方はストレートとトワイスアップ。
加水によって甘さが際立つので、ぜひ試してみていただきたいですね。
ボウモアについては個別記事にまとめてあります。
このウイスキーをもっと深く知りたい方は、目を通してみてください!
ラフロイグ10年
その強烈な個性と、完成度の高い味わいで世界中に数多くのファンが存在するウイスキー。
あのチャールズ皇太子も、熱狂的なファンだということがよく知られていますね。
アイラといったらやっぱりこの銘柄、という人も多いんじゃないでしょうか?
味の方は非常にスモーキーでケミカル。
慣れないうちは「薬のような味がする!」といった感想しか出ないかもしれないですね(笑)
ですがこの独特の味わいに慣れてくると、スモーキーさの奥に熟成感のあるフルーティな風味を感じることができるようになります。
このフルーティーな味わいとピート香の調和が本当に素晴らしい。
これはファンが多いというのも頷けるというものです。
飲み方はやはりストレートがおすすめですね。
その他ですと、ハイボールで嗜む方も多くおられるそうですが 、個人的には加水するとピート香だけが際立ちすぎてしまうかな?という感想です。
ただピート香が際立ったドライな風味をあえて楽しみたいという方もいるかと思いますので、そういう方には少し濃い目に作ったハイボールをおすすめします。
こちらも詳しいレビューについては別記事にまとめてあります
完成度が高いと評判のラフロイグ18年のレビューも書いてみましたので、このウイスキーが気になる方は見てみてください!
アードベッグ10年
究極のアイラモルトとも称され、世界的な評価の高い一本。
ボトルや箱のデザインも、なにやら黒魔術を連想させるようなダークな感じです。
味はとにかく強烈の一言で、煙をそのまま飲み込んでいるような気分にさえさせてくれます。
しかしその強烈なピート香や薫香に慣れてくると、意外にクリーミーで甘い味わいに気づくはずです。
ストレートで少量を口に入れ、しばらく口の中で楽しんだ後チェイサーを飲むと、さまざまな香りが一気に爆発するように花開きます。
非常に個性的であるがゆえに、一度癖になると病みつきになる一本といえるでしょう。
少量の加水をすると甘さや香りが強調されて、また違った一面が見えるのも面白いところ。
私はストレートで飲み始めて、後半それに徐々に加水するという飲み方が好きですね。
カリラ 12年
どっしりとした飲みごたえのある味わいが多いアイラモルトの中で、比較的スッキリとした味わいを持つのがこのカリラ。
ラベルの表記がCAOL ILAとなっていますが、これでカリラと発音します。
ジョニーウォーカーのキーモルトとしても知られている銘柄ですね。
味の方はスッキリした甘みとスパイシーな後味。
酸味も強めに感じる印象です。
もちろん、アイラモルトの持ち味であるスモーキーでほろ苦いテイストもしっかり感じることができます。
煙たさはボウモア以上、ラフロイグ未満といったところでしょうか?
総合すると辛口でドライな味だと言えますが、余韻は意外にも華やかな印象。
スモーキーフレーバーもラフロイグやボウモアとは少し異なるように感じます。
燻製のような後をひく芳醇さというか、癖になりそうな香ばしい風味です。
オススメの飲み方はストレートとロック。
ナッツ類との相性も良く、共に飲み進めるとたまらないです。
特にカシューナッツのようなほのかな甘みがあるものとは相性抜群。
ぜひお試し下さい!
さいごに
メジャーな銘柄を紹介してみましたが、まだまだアイラには面白い銘柄が存在します。
興味を持ったのならば、バーに行き「おすすめのアイラモルトありますか?」とバーテンダーに聞いてみるのがいいですね。
あなたにとってのウイスキーの世界が、さらに広がること請け合いです!