意外にも手軽に自作できるビターズ、お好みの材料で作ってみよう
前回の記事ではビターズの魅力と使い方を解説しました
アンゴスチュラビターズやオレンジビターズを使ったカクテルが複雑で奥深い風味を持つことが分かっていただけたかと思います
手軽にカクテルに個性を与えてくれるビターズですが、近年では独自の材料を使い自家製ビターズを作るバーテンダーも増えてきています
やはり自家製ですと自分好みの材料で作ることができ、味の調整が効くところが魅力的です
そこで今回はアロマチックビターズとオレンジビターズ、2種類のビターズの自作レシピを紹介しようかと思います
複数種類のスパイスやハーブを使うので材料を揃えるのが少し大変ですが、作り方は意外にも簡単。ぜひトライしてみてください!
材料
自家製ビターズを作るにあたってはこちらの書籍を参考にしました
今回の自家製ビターズは書籍のレシピが基本となっているので細かい分量の記載については割愛させていただきます
興味が湧いたらぜひ書籍を購入してみてください。ビターズのレシピの他にもミクソロジーカクテルの紹介などがありカクテル好きには興味深い内容となっています
もちろん自分で味を確かめながら材料の選定や分量の調整をしてみてもいいかと思います。それこそがホームメイドの醍醐味ですからね
ではまずアロマチックビターズの方から材料を見ていきましょう
【アロマチックビターズの材料】
・スピリタス
・水
・オレンジピール
・レモンピール
・ライムピール
・シナモン
・コリアンダー
・カルダモン
・アンジェリカ
・リコリス
・エルダーフラワー
・ダンデライオン
アルコール度数の高いスピリタスを使うことにより、スパイスやピールの成分を効率よく抽出することができます
このレシピでは甘味成分としてはリコリス、苦味成分としては各種シトラスピールとアンジェリカ、ダンデライオンが作用しています
このように複数のスパイスやピールを使用する事によって、アロマチックビターズの良さである複雑で奥深い香りと味を作りだします
単品ではクセの強いスパイスも複数種使う事によりお互いの香りを高め合い、バランスの取れた風味となります。カレーなどを作る時にも活用されるスパイステクニックの1つですね
続いてオレンジビターズの材料です
【オレンジビターズの材料】
・スピリタス
・水
・オレンジピール(フレッシュ)
・オレンジピール(ドライ)
・レモンピール(ドライ)
・カルダモン
・クローブ
・キャラウェイ
・シナモンスティック
フレッシュとドライ、香りの出方が異なる2種類のピールを使う事によって深みのある香りに仕上げています
ドライピールはオーブントースターにアルミホイルを敷き、フレッシュのピールを並べ3分ほど加熱した後にそのまま数時間おいて乾燥させて作ります
オレンジのフレーバーが主役なのでスパイスの使用量は少なめ。甘みが付いていない分、シナモンの甘さが際立ちます
今回実際に使った材料はこちら↓
神戸アールティー ダンデリオン 20g Dandelion ダンデライオン 西洋たんぽぽ ハーブ スパイス 調味料 業務用
作り方
アロマチックビターズとオレンジビターズでは少し作り方が異なります。これは使用している材料の特性を活かすためです
アロマチックビターズの方は材料を煮出してスパイスの香りを引き出し、オレンジビターズの方は熱を加えずフレッシュな香りを保持させます
【アロマチックビターズの作り方】
1. オレンジ、レモン、ライムの皮を包丁などで薄く削ぐ。果肉と皮の間の白い部分が入らないように注意する。カルダモンは軽く砕く
2. 手鍋に水以外の材料を入れ、火にかける。沸騰して1〜2分で火を止める
3. 余熱を冷ましてから水で希釈する。そのままスパイスやピールごと瓶に移し、3日間保管する
4. 出来上がったものをコーヒーフィルターなどで濾して完成
材料を煮出すことでスパイスやピールの風味を抽出させ香り高い味わいに仕上げます
材料を漬け込んだ後はこまめに味を確かめて好みの段階でスパイス類を取り出しましょう。目安は3日間です
【オレンジビターズの作り方】
1. オレンジとレモンの皮を包丁などで薄く削ぐ。果肉と皮の間の白い部分が入らないように注意する 。カルダモンは軽く砕く
2. ドライピールを作る。オレンジとレモンの皮をオーブントースターで数分加熱し、そのまま数時間乾燥させる
3. スピリタスをアルコール度数60度程になるように水で希釈し、材料を瓶に入れる。3日間ほどの冷暗所で保管する
4. 各種ピールのみを取り出し、さらに3日間保管する
5. 出来上がったものをコーヒーフィルターなどで濾して完成
こちらは火を使わず漬け込みのみでオレンジの香りをじっくりと引き出します
雑味の無い澄んだ味に仕上げたいので、各種ピールを作る際に白い部分が付かないように注意してください
材料を漬け込む際は直射日光の当たらない涼しい場所で保管しましょう
不安な方は冷蔵庫で保管してもOKです
味の感想
出来上がったビターズです。左がアロマチックビターズ、右がオレンジビターズとなっています
ビターズボトルに入れるとやっぱり雰囲気が出ますね。使う際もとても便利です
まずアロマチックビターズの方からそのままで味見
鼻腔をくすぐる芳醇で複雑な香りがします。多国籍料理のような、スパイシーで癖になりそうななんとも言えない香りです。エルダーフラワーのマスカット香とカルダモンのエキゾチックな香りで爽やかなニュアンスも出ています
味はそこまで苦味を感じず、リコリス由来だと思われる甘味の方を強く感じました。これでしたら他にも苦味成分となるスパイスやハーブを足してもよさそうですね。次回に作る時はレシピを調整してみたいと思います
ジントニックに2〜3ダッシュ程入れて入れて飲んでみました
口当たりなどの飲んでいる時の印象にあまり差はないですが、グラスに顔を近づけた瞬間にスパイスのアロマがふわっと香ります。
その芳醇な香りは余韻にも顔を覗かせ、フィニッシュが長くなり、なんの変哲も無いジントニックがとても飲みごたえのあるカクテルへと変貌しています
あとを引く感じというか、これはハマりそうな味わいです
続いてオレンジビターズの方をまずはストレートで味見…
…これは凄いですね!市販のオレンジビターズより香りの強さやフレッシュさが遥かに上です!
味の方も程よく苦味があり、凛としていて澄んだ印象の味です。これは色々なカクテルに応用できそうです
こちらもアロマチックビターズと同じくジントニックに入れて飲んでみました
こちらはライムの清涼感をオレンジの香りが後押ししていて、とても爽やかな味となっていますね!
オレンジの味はほとんど感じられないのですが、香りには強烈なオレンジ感。フレッシュなオレンジをふんだんに使ったカクテルに勝るとも劣らずの香り立ちの強さです
ジントニックにはアロマチックビターズの方が合うかと思っていたのですが、私としては圧倒的にこちらのほうが好みです
正直オレンジビターズの方はスパイスを色々揃えたからこっちも作ってみるか、と半ばオマケのような感覚で作ったのですが、これは嬉しい副産物でした!
さいごに
いかがでしたでしょうか?自家製ビターズを使ったカクテルが市販のもの以上の素晴らしい味や香りを持つことが分かっていただけたかと思います
一杯のカクテルにこだわりを持ちたい方、自分の店のウリとなる個性的なカクテルを作りたい方、色々なビターズをつい買いそろえてしまうビターズオタクの方などなど…美味しいカクテルを作りたいという意欲のある方はぜひ作ってみてください!