美味しく作るには技術がいる、と言われているカクテル「サイドカー」
バーでの定番カクテルの1つであるサイドカー。
その甘酸っぱく、メロウな味わいは多くの人を虜にしています。
最近ではバーだけに留まらず、自宅で道具や材料を揃えて作るという方も珍しくありません。
ですが、実際に作ったことがある方はご存知だと思いますが、このカクテル、なかなか作るのが難しい。
バーで飲んだ「あの味」は簡単に再現できないのが実情です。
なので今回は、自宅でサイドカーを作ってみたいという方に向けて、私なりに美味しい作り方の考察をしてみたいと思います!
より美味しく作るために、著名なバーテンダーのレシピも参考にしてみました。
そちらも合わせて紹介します。
スタンダードなサイドカーのレシピと作り方のポイント
それでは実際に作っていきましょう。
まずはじめに、スタンダードなサイドカーのレシピを紹介したいと思います。
【材料】
ブランデー 30ml
コアントロー 15ml
レモンジュース 15ml
【作り方】
材料をシェイカーに入れてシェイクする。
使う材料も少なくシンプルです。
ですが多くのカクテルの例に漏れず、シンプルだからこそ難しく、こだわりがいがあります。
サイドカーを美味しく作る際にポイントとなるのは次の3点です。
1. グラスのアイシングを行う
2. レモンは優しく絞る
3. シェイキングはソフトに行う
1番と2番については、ホワイトレディの記事でも解説しましたね。
詳細については、そちらを参考にしてみてください。
最大のポイントは3番のシェイキングですね。
やはり、ここが一番難しいところです。
なぜかというと、サイドカーのベースとなるブランデーは、冷やしすぎると香りが閉じてしまうという特性があるからです。
なので、シェイキングは優しくソフトに行うのが鉄則だと言われていますね。
ただ、あまり軽く振りすぎても材料がうまく混ざりませんから、難しいところです。
こればかりは何回も作って、技術と知識を高めていくしかないですね。
なにはともあれ、ひとまずは上記の作り方でサイドカーを作ってみたいと思います。
スタンダードのレシピで作ったサイドカー。美味しいけど少し物足りない?
実際に作ってみました。
さっそく飲んでみたいと思います。
うーん、やっぱりこのカクテルは美味しい。
バーでの定番を自宅で楽しむことができるというのは、なかなか嬉しいものです。
ですが感想としては、まぁ「サイドカーだな」って感じの味ですね。
このあたりは自分のシェイクの技術不足も響いていると思います。
家飲みだと十分なクオリティだとは思いますが、バーの味とはやはり少し違うように感じますね。
もう少しレシピの工夫が必要かな、というのが素直な感想です。
そこで、次にスタンダードのレシピを見直して、このカクテルをツイスト(アレンジ)していきたいと思います。
自分一人ですと発想や技術に限界があるので、著名なバーテンダーのカクテルブックを参考にすることにします。
色々なレシピで作ってみて、自分に合ったものを見つけていきたいと思います。
有名バーテンダーのサイドカーレシピと味の比較
それでは、実際に著名なバーテンダーの方々のレシピでサイドカーを作ってみたいと思います。
参考にするのは、岸久氏、上田和男氏、木村義久氏の3人のレシピです。
どなたもバーの世界における重鎮とも言える存在。
スタンダードのカクテルをこだわりぬいて作っている方々です。
参考にしたカクテルブックも合わせて紹介したいと思います。
詳細な作り方やサイドカー以外のレシピも知りたい!という方は手にとってみてください。
ソルクバーノの生みの親、木村義久氏のレシピ
【材料】
ブランデー 3/5
コアントロー 1/5
フレッシュレモンジュース 1/5
【作り方】
材料をシェイカーに入れてソフトシェイクする。
まずは、木村義久氏のレシピから紹介したいと思います。
木村氏が生み出した「ソルクバーノ」というカクテルはスタンダードとして多くの人に愛されていますね。
さて木村氏のサイドカーですが、ブランデーの分量が多めとなっています。
通常のサイドカーは2:1:1の比率で作られますが、木村氏のレシピは3:1:1です。
たったこれだけの違いですが、味の方は結構差が出てきますね。
通常のサイドカーよりブランデーの華やかさが際立っています。
味の骨格もしっかりしているので、私のようなシェイクの技術が未熟な人でもバランスが取りやすいですね。
初心者の方は、まずこのレシピを試してみるのがオススメかもしれません。
参考にしたカクテルブックはこちらになります。
木村氏のレシピには派手さはないですが、基本を抑えた質実剛健なものが多いですね。
オリジナルレシピも再現しやすいものが多いので、基本から一歩進んだカクテルを作りたいという方には特にオススメです。
ハードシェイクで有名な、上田和男氏のレシピ
【材料】
ブランデー(ヘネシー V.S.) 4/6
コアントロー 1/6
フレッシュレモンジュース 1/6
【作り方】
材料をシェイカーに入れてハードシェイクする。
お次は上田和男氏のサイドカーです。
上田氏は、ハードシェイクと呼ばれる激しいシェイクで有名なバーテンダーですね。
ソフトシェイクが基本となるサイドカーですが、上田氏はなんとハードシェイクでこのカクテルを作り上げています。
使用しているブランデーはヘネシーV.S.。
味の骨格を保つ為なのでしょう。その比率も高めで、4:1:1の割合で作っているようです。
味の方は非常にドライで、爽快感があります。
ただ、私の技術ではやはり香り立ちが少し弱くなってしまいました。
このレシピで味のバランスをうまく取るには、上田氏の高い技術がないと難しいのかもしれません。
私としてはとても面白いレシピだと思うので、シェイクに自信がある方はぜひ挑戦してみてください!
参考にした書籍はこちら。
スタンダードのレシピをハードシェイクで作る際のコツなどが、詳しく解説されています。
私は、中でもギムレットのレシピがお気に入りですね。
ハードシェイクの良さがよく分かる、優れたレシピだと思います。
日本バーテンダー協会会長、岸久氏のレシピ
【材料】
ブランデー(クルボアジェ ルージュ) 50ml 冷蔵
グランマルニエ 25ml
フレッシュレモンジュース 10ml
コアントロー リンス
【作り方】
コアントローをシェイカーに少量入れ、リンスする。
他材料をシェイカーに入れてインフィニティーシェイクする。
メッシュで漉しながらグラスに注ぐ。
最後にスタア・バーのオーナーバーテンダー、岸久氏のレシピでサイドカーを作ってみます。
レシピを見て分かる通り、前述の2つとは明らかに違うサイドカーです。
岸氏にとってサイドカーは、新人時代に初めて常連のお客様から合格点をもらった、思い入れのあるカクテルなのだそうです。
そのレシピにも深いこだわりがあるのでしょう。
味の方はとても素晴らしいですね!
甘めのリキュールであるグランマルニエを使うことで、ずいぶん親しみのある味となっています。
シェイクの際にできる氷片を取り除いているためか、味わいはクッキリハッキリとした感じに。
コアントローとの合わせ技で、香りも多層的になっていますね。
ブランデーは、クルボアジェルージュという銘柄が指定されています。
私は、今回初めてこのブランデーを使ってみたのですが、価格の割にかなりクオリティの高い味わいですね!
香りの伸びもよく、このサイドカーにはベストマッチ。
いままでは定番のものしか使っていなかったので、このサイドカーをキッカケにいいものを見つけちゃいました…。
参考にした書籍はこちらです。
このサイドカーは、インフィニティーシェイクと呼ばれる捻りを効かせた振り方で作られているのだそうです。
今回、私もやり方を見てなんとなくマネをしてみたのですが、確かにカクテルの味が変わる気がしますね。
書籍のほうで詳しい振り方が解説されていますので、再現したい方はぜひ手にとってみてください!
まとめ
今回、色々なサイドカーを作ってみての個人的な所感のまとめです。
・サイドカーはシェイキングが命。ブランデーの香りが飛ばないようにソフトシェイクを心がける。
・ハードシェイクで作るには、分量の調整とシェイクの技術が必要。
・レモンはフレッシュのものを優しく絞る。強く絞って渋みが出てしまうと、サイドカーの上品なイメージが霞んでしまう。
・シェイクの際にできる氷片は、無いほうが美味しく感じた。グラスに注ぐ際にメッシュなどを使って取り除く。
・ブランデーは定番のレミーマルタンV.S.O.PやヘネシーV.S.もいいが、個人的にはクルボアジェルージュがサイドカーに合うと感じた。
今回、色々なレシピのサイドカーを飲み比べることで、少しは得るものがあったように思います。
バーで飲むサイドカーの味を安定して作り出すのはまだまだ難しそうですが、少なくとも以前よりは美味しく作れるようになりましたね。
またサイドカーが飲みたくなったら、色々工夫をしながら作ってみたいと思います。
いつかは飲んだ人が太鼓判を押してくれるような、そんな素晴らしい味のサイドカーが作れるようになりたいものです。
ちなみにサイドカーに使うコアントローは、さまざまな飲み方を楽しむことができるリキュールです。
別記事でカクテルレシピを詳しく解説しているので、ご覧になってみてください!
少し珍しいロングカクテルのレシピも多数紹介しています。