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カクテルやウイスキー、リキュールなどの洋酒の楽しみ方を紹介します

最新鋭のカクテル技術、ミクソロジーカクテル、モレキュラーカクテルについて解説

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ミクソロジーカクテル、モレキュラーカクテルとは

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現代に入り目覚ましい進化を遂げる飲食業界。

それはバーのようなアルコールの世界も例外ではありません。

カクテル界では数年前からミクソロジーカクテル、モレキュラーカクテルと言われるものが流行しています。

 

ミクソロジーカクテルとは最新鋭の調理技術を取り入れ、フレッシュな果物やハーブ、スパイスなどの材料を使い作られるカクテルの事。

従来のリキュールやフレーバーシロップを使ったカクテルとは一線を画しており、使われる材料も独自性があります。

 

モレキュラーカクテルとは分子ガストロノミー(分子美食学)の技法をカクテルに応用して作られるカクテルの総称です。

ざっくりと言うと科学的な手法を使って作られるカクテル。

液体窒素で材料を凍らせたり、アルギン酸ナトリウムで材料を球状に固めたりと、まさに科学実験のような調理法が取られています

モレキュラーカクテルもミクソロジーカクテルの中にカテゴライズされますが、こちらは科学的なアプローチが強いものの事を指します

 

ミクソロジーの手法を使って作られたカクテルの魅力はなんといってもその独自性にあります。

これは味や香り、食感に至るまで従来のカクテルでは味わうことのできないものです。

思わず釘付けになってしまうような作り方のものも多いのでエンターテイメント性も高いと言えます。

 

今回はそんな最新のカクテル技法と、それを使って作られるカクテルの味の特徴について解説したいと思います。

自宅で再現するのは困難だと言えるものも多いので、ミクソロジーカクテルを提供しているバーを探して、ぜひその味を確かめてみてください!

 

 

リキッドナイトロジェン

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https://bar-zolddich.com/archives/933

 

リキッドナイトロジェンとは液体窒素のことです。

その名の通り液体窒素を使いカクテル材料を氷結させて、フローズンカクテルを作る技法のことを指します。

 

大きなボウルにカクテルの材料を入れ、その上から液体窒素を注ぎ、材料を氷結させる方法が一般的です。

撹拌するうちに液体窒素が気化し冷やされた材料が残るので、それを食べるカクテルとして提供します。

 

この技法を使う利点としてはカクテルが水っぽくならないところ。

通常のフローズンカクテルはクラッシュドアイスを砕いたものとカクテル材料をブレンダーなどでミックスして作られるため、どうしても材料の濃度が薄くなってしまいます。

 

一方、リキッドナイトロジェンの技法を使うと、氷などを使わなくても材料を冷やすことができるため濃度が保たれます。

これによりアルコール感のある濃い味わいのフローズンカクテルを作ることができるというわけです。

 

この技術を使って作られる代表的なカクテルはフローズンモヒート。

ラム、細かく刻んだミントの葉、ライムジュース、シュガーシロップをボウルに入れ、液体窒素を加えて撹拌すれば完成です。

 

材料は通常のモヒートとほぼ同じですが、仕上がりは全くの別物。

口溶けが滑らかな上質なジェラートのようなカクテルとなります。

通常のモヒートよりもミントとライムの香りが強く感じられ、ラムのアルコール感も強めです。

 

初めて口にした時の衝撃はなかなかのものでした…これが次世代のカクテルなのか、と驚愕した覚えがあります。

 

エスプーマ

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http://www.schoentrinken.at/gin-tonic-mit-lime-espuma/

 

エスプーマとは特殊な器具で材料を泡状にする技法です。

スペインのレストラン「エル・ブリ」のシェフ、フェラン・アドリア氏が料理に使用した事で話題を集め、画期的な手法として世界中に広まっています。

 

泡のソースを使用した料理をテレビやネットなどのメディアで目にしたことのある方もいるのではないでしょうか?

そのエスプーマが近年では料理だけではなくカクテルにも応用されるようになりました。

 

エスプーマを使う利点は泡となった材料の吸着性にあります。

泡状になった材料は舌に触れる表面積が大きくなりますが、中に空気を含んでいるため質量は当然少なくなります、

そのため塩気や甘みなどの材料の味が、含まれている成分以上に強く知覚されます。

つまり砂糖やシロップの量を抑えた薄めの味つけでも味が濃いように感じるのです。

 

後味にも重い感じが残らずスッキリとした余韻になります。

その作用のおかげで、塩気や甘み以外の要素、材料の持つ風味や旨みなどが、ハッキリと感じられるようになります。

普段は味付けの影に隠れていた繊細な風味も、エスプーマなら感じることができ、なおかつ泡の吸着性のおかげで満足感のある甘みや塩気を感じることができます。

 

塩のエスプーマなどが分かりやすい例でしょうか。

以前、塩のエスプーマを液面に乗せたショートスタイルのブラッディーメアリーを飲んだことがあるのですが、なかなか面白い味となっていました。

口に含むと塩のエスプーマの味が一気に攻めてきて強い塩気を感じるのですが、その味は一瞬で消え、後から口に入ったトマトジュースの風味がとてもフルーティに感じられました。

 

塩のエスプーマの味で舌がリセットされてトマトの甘みが強調された、というわけです。

これが普通の塩で味付けされたものなら、強すぎる塩気で味のバランスは崩れていたことでしょう。

 

しかもエスプーマなら飲み切るまで泡状になった塩が液面に浮いてくれるので、最後までこの塩気と甘みのコントラストを楽しむことができます。

計算され尽くした完成度の高いカクテルと言えますね。

 

スローイング

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https://www.broadsheet.com.au/sydney/food-and-drink/200-years-lagavulin-scotch--syd

 

スローイングとはステア、シェイクに次ぐ新たな材料のミックスの方法です。

 

やり方としてはまずパイントグラスとティンとストレーナーを用意します。

そしてパイントグラスにミックスする材料をすべて入れ、ティンには氷を入れます。

ティンにストレーナーをかけ、顔の位置ほどの高さから腰の位置ほどに持ったパイントグラスに落とし入れます。

そしてまたティンにカクテルを戻す。

 

この高い位置から低い位置に材料を移し入れる、という作業を5〜6回繰り返して完成です。

ただ材料を行ったり来たりさせているだけに見えるかもしれませんが、高い位置から液体を落とすことによって揮発成分が飛び、材料に空気が混ざります。

これによりカクテルがまろやかな味になり香りも立ちます。

これのような作用をエアレーション効果といいます。

 

ワインに詳しい人なんかはこの技法の効果をよく知っているのではないでしょうか?

ワイン、特に赤ワインはグラスに注ぐサーブの技術によって味が変質すると言われています。

 

乱暴にサーブをしたワインは渋みや雑味を強く感じることもあり、高いワインでも台無しになってしまいます。

そのためサーブの技術はワインのプロ、ソムリエの必修科目の1つとなっています。

 

この技法を使って作られる代表的なカクテルはブルーブレイザー。

ウイスキーに熱湯と砂糖を加えて、スローイングをしたカクテルです。

面白いのは混ぜた材料に火を付けてスローイングがされるところです。

その名の通り青い炎がマグを往復する様子は高いパフォーマンス効果があります。

 

インフュージョン

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インフュージョンとは果物やハーブ、スパイスなどをウォッカなどに漬け込み、オリジナルのリキュールを作る技法です。

いわゆる漬け込み酒。

日本古来の果実酒、梅酒もインフュージョンの一種です。

 

今までに紹介した技法に比べてやや親しみのある印象ですが、その可能性は無限大。

漬け込む材料次第で、様々な味の自家製リキュールを作り出すことができます。

 

材料を漬け込むことによって、浸透圧により果物やハーブの成分がお酒に溶け出します。

生の果物を使えば、市販のリキュールでは味わえないフレッシュ感も生まれます。

 

漬け込む材料を工夫すれば独自のリキュールを作り出すことができ、それを使って作られたカクテルはまさに世界に1つだけのオリジナルカクテルとなります。

昨今はカクテルにも技術だけではなくオリジナリティも求められる時代です。

自家製のリキュールを使ったカクテルを作ることは、この時代に適応するために最適な方法だと言えるでしょう。

 

インフュージョンで作られたリキュールには様々な種類がありますが、個人的にお気に入りなのは、ジンにハーブやスパイスを漬け込んだもの。

ジュニパーベリーを漬け込んでジンの風味を強化したり、ホールのカルダモンを漬けて香りにエキゾチックさを加えたりと面白いものがたくさんあります。

そしてそれらを使って作られたジントニックは個性的で刺激的な味わいです。

他の技法に比べて家庭でも簡単に行うことが出来るのでみなさまも一度試してみてはいかがでしょうか?

 

筆者もこれまでにインフュージョンで色々な自家製リキュールを作っています。

作り方などを記事にしてまとめてあるので、興味が湧いたら目を通してみて下さい。

 

 【バラの漬け込み酒】自家製ローズリキュールの作り方と美味しい飲み方を紹介 - NomiLOG

 【自家製カルーア】ラムとウォッカでコーヒー酒を作ってみました - NomiLOG

twitterで話題のいちごの漬込みウイスキー。色々なウイスキーで作ってみました - NomiLOG

 

スフェリフィケーション

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http://www.molecularrecipes.com/molecular-mixology-class/

 

スフェリフィケーションとはカクテル材料にアルギン酸ナトリウムを溶かし込み、それを乳酸カルシウムを入れた水に落とし込むことによって、材料を球状に変化させる技法です。

 

落とし込んだカクテル材料の表面には薄い膜がはり、さながらイクラのような出で立ちに。

その見た目からスフェリフィケーションで作られたカクテルはキャビアカクテルと呼ばれたりもします。

 

乳酸カルシウムに材料を漬け込む時間によって食感も変化します。

短い時間だとゼリーに近い食感に、数分漬け込むと膜が厚くなりプチプチとした食感に変化します。

漬け込んだ材料には苦味成分が付着しているので茶漉しなどで漉した後、容器に入れた水で表面を洗ってから提供されます、

 

完成したカクテルはまさに食べるカクテルといったところ。

小気味よい弾力があり、噛み締めると閉じ込められていた材料の香りや味が一斉に口の中に広がり、なんともいえない楽しさを感じます。

 

ちなみにスフェリフィケーションは、材料を選ばずに行えるというわけではありません。

材料のアルコール濃度や粘度などによってはうまく膜がはらず失敗してしまうことがあります。

自分で作る場合は試行錯誤を繰り返してちょうどいい材料の割合を探っていく必要があるでしょう。

 

スモーク

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https://www.pinterest.jp/onealdwych/the-lobby-bar/

 

文字通り燻煙を使ってカクテルに燻香を付ける手法です。

ハンディタイプのスモークマシンを使って大きめで口の狭いデキャンタなどに煙を充填、その後にカクテル材料を投入し数分おく、または軽く撹拌をして材料に燻香を付けます。

 

その他にもグラスに注いだカクテルの上からケースを被せその中に煙を充填させる方法や、シェイカーに材料と燻煙を入れそのままシェイクする方法などがあります。

 

煙の発生源としてはスモークチップを使います。

チップには桜、リンゴ、ホワイトオークなど様々な種類があり、使うチップによって香りが異なるのが面白い所です。

 

この技法を使って作られたカクテルは通常味わうことのない、燻香が効いたものになります。

香りだけではなく味にもスモーク感を感じるのが面白い所。

他にもウイスキーをスモークすることでアルコールの角を取るという効果もあります。

 

スモークと相性のいい材料は限られてきますが、生クリームなどの乳製品とは相性抜群です。

フルーツ系だとリンゴなどが良く合います。

カンパリを使ったカクテル、ネグローニをスモークで作って提供しているバーも見たことがあります。

 

ちなみに短時間のスモークで作る燻製は料理の分野だと「瞬間燻製」と呼ばれており、人気を博していますね。

燻香が付いた料理は近年流行中なので、同じ手法を取り入れたカクテルは話題性も抜群です。

 

 

さいごに

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いかがでしたでしょうか?

最新鋭のカクテル技術はどれも斬新な手法で作られる、独自性の高いものであることが分かったと思います。

 

最近では日本でもバーテンダー協会などを通して技術の流布がされており、ミクソロジーカクテルを取り入れるお店も増えてきました。

興味がある方はぜひ取り扱っているバーを探してみてください!